使わなくなったベイプ(電子タバコ)デバイス、壊れてしまったバッテリー内蔵の機器——それらをどう処分していますか?
実はベイプデバイスにはリチウムイオン電池が内蔵されているため、家庭ごみとして簡単に捨てることはできません。また、通常のリサイクル回収ルートにも乗せづらく、多くのユーザーが「どうやって処分すれば良いのか分からない」と悩んでいます。
この記事では、ベイプユーザーの皆さんが不要になったデバイスを安全かつ適切に処分するために知っておくべき情報を、最新の行政動向も含めて分かりやすく解説します。
なぜベイプデバイスは簡単に捨てられないのか?
VAPEデバイスの多くには、リチウムイオンバッテリーが内蔵されています。この電池は非常にエネルギー密度が高く、誤った方法で破棄すると火災のリスクがあります。実際に、ごみ収集車やごみ処理場で発火する事故も報告されています。
そのため、リチウムイオン電池を内蔵する製品は、一般ごみや不燃ごみとして捨てることはできません。これはベイプに限らず、モバイルバッテリー、電動歯ブラシ、加熱式タバコなども同様です。
家電量販店の回収ボックスは使えない?
大手家電量販店には、モバイルバッテリーや小型家電を回収するためのリサイクルボックスが設置されていることがあります。これらのボックスは、リサイクル団体「JBRC(一般社団法人 小型充電式電池リサイクル推進センター)」によって管理されているものが多く、JBRC会員企業の製品に限って回収対象とされています。
問題は、ベイプ製品の多くがJBRC会員製品ではないという点。海外メーカーが多く、登録されていないブランドが大半を占めます。そのため、これらのリサイクルボックスに投棄するのは原則として不可。知らずに入れてしまうと、回収されない可能性もあります。
2025年4月に環境省が方針を変更、市区町村回収の流れへ
このような状況を受けて、環境省は2025年4月、全国の自治体に対して不要になったリチウムイオン電池を市区町村が回収するよう通達を出しました。
これは大きな変化で、従来は「市区町村ではなく、メーカーや専門団体が回収するべき」とされていたスタンスからの転換です。この通達により、今後は自治体によるリチウムイオン電池回収の体制が整っていくと考えられます。
実際、東京都新宿区では2025年4月より、家庭用リチウムイオン電池の回収を開始しました。これにより、ベイプ製品も自治体ルートで回収される可能性が高まりつつあります。
自治体の対応はバラバラ、まずは地域のルールを確認
とはいえ、全国一律で対応が始まったわけではありません。現時点では自治体によって対応状況は異なります。一部の市区町村ではすでに回収が始まっている一方、まだ体制が整っていない地域もあります。
したがって、最も確実なのは、お住まいの自治体のホームページや窓口で確認することです。自治体によっては、「小型充電式電池専用の回収ボックス」や「資源回収ステーション」など、特定の拠点にてベイプを含むリチウム電池製品の持ち込みを受け付けている場合もあります。
加熱式タバコ機器(IQOS、gloなど)の場合
ベイプとは別に、加熱式タバコデバイス(IQOS、glo、Ploomなど)を使っていた方は、専用のリサイクルルートが用意されています。
● IQOS(フィリップ モリス)
IQOSデバイスは、IQOSストアおよび一部のたばこ販売店で回収を受け付けています。公式サポートでも「不要になったIQOS本体の回収」を案内しており、店頭に持ち込むことで適切にリサイクルされます。
● glo(BAT)
gloデバイスは、日本たばこ協会(JTA)などが実施する「加熱式たばこ機器等の回収・リサイクル活動」の対象となっています。リサイクルマークの掲示されたコンビニやたばこ店に設置された回収箱に投函することが可能です。
● Ploom(JT)
Ploomも同様に、JTによる回収活動が行われており、公式サイトで対象店舗の案内があります。
まとめ:ベイプデバイスの処分は「勝手に捨てない」、自治体かメーカー回収を確認しよう
壊れたベイプデバイス、使わなくなったポッド型デバイス、本体が膨張したリチウム電池——これらを処分する際に最も大切なのは、「勝手に燃えないごみに出さない」ということです。
- 家電量販店の回収ボックスはJBRC非会員製品には対応していない
- 環境省の通達により、今後は自治体回収が主流になる見込み
- お住まいの自治体のWebサイトや窓口で、最新の回収ルールを確認
- 加熱式たばこデバイスは専用リサイクル窓口に持ち込む
適切な処分を行うことは、環境保全や火災防止に直結する重要な行動です。あなたの一台が、未来の事故を防ぐ一歩になるかもしれません。